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斧の柄

  • 作成日
  • 編集日2024-07-08

斧の柄について木製やプラスティック製など種類別に特徴を解説。

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概要

斧の柄を木製とプラスティック製の特徴の比較や柄の部位の解説をしています。
どっちの柄が優れているかは使う人によって意見が分かれると思いますが、選び方の結論を言うと「キャンプでの使用なら見た目で選んで良い」です。

柄の素材

斧の柄の種類は大きく別けて、木製とプラスティック製の2つのタイプがあります。
主に木製とプラスティック製についての解説になりますが、ヘッドと一体になっている斧についても少しまとめています。

木製の柄

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斧の柄として使われる一般的な素材。
どちらかというと欠点のほうが多めですが、欠点に負けない趣も木製の柄の特徴の一つ。

このプラスチック製の柄の利点としては下記の点があります。

利点
柄の交換が可能 各種調整が可能

柄の交換

木材の柄と最大の利点が、この交換が可能な点になります。
ヘッドと一体型になっているプラスチック製の柄と違い、柄にダメージや折れが出ても柄を交換してヘッドを使い回せて、斧を一生涯の道具として成り立たせる要因の一つ。
ですがキャンプ視点で見ると「柄を交換するほど使い込まない」という人が多いので、利点として見ると主に自然素材故の「趣がある」という点になってしまいますが。

自分好みに調整

木の柄は「切る・削る」といったことができるので、玄人志向の人は自分好みに調整することも可能です。

特に洋斧の柄は外国人の屈強な肉体の木こりのサイズに合わせているので、柄を自分の手に合わせて細くする加工は多くの人がやっています。
方法はナイフでカットして、ヤスリで研いぐだけと簡単です。
ヤスリをかけ過ぎると滑りやすくなるのでザラつきを残すようにしましょう。

キャンプシーンでは女性が使うことも多く、既製品の柄は太く感じる人も多いと思うので、ナイフの扱いに慣れている人は加工してみましょう。

またグリップ部分の滑り止めのためにザラザラに研ぐ、両手斧のネック部分の滑りを良くするためにツルツルに研磨する、といった加工もよく耳にします。

柄の長さによっても使い勝手が変わるので、取り回しを良くするために短い柄に交換したり、柄が長い程パワーが出るので長い柄に交換してヘビーな薪割り用にしたりと、自分の使い方に合わせてカスタマイズすることも可能です。

木の種類

木の種類としてはヒッコリーが1番使われており、少数派としてはクルミ、カシ、タモなどもあります。
ですが色々とレビューを見聞きしてもヒッコリーの評価はピカイチなので、洋斧であればヒッコリーを選ぶことをオススメします。

木目

木製の柄の難しい点として、木目の入り方によって耐久度が変わる点です。
斧を立てた時に木目が斜めに入っていたり垂直に入っている柄は折れやすいので選ばないようにしましょう。

良い柄の木目の判断基準は下記になります。

  • 柄の底の部分の木目が縦に真っ直ぐ入っている
  • 柄の背の部分の木目が真っ直ぐである
  • ヘッド差込部の木目が真っ直ぐヘッドに入っている
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上記の写真1枚目と2枚目の右側の斧の木目は駄目な例になります。
※ 駄目な例ではありますが、この斧は薪割り用の斧ではなくカービング用なので、木目関係なく使用しています。

ネットでの購入でも届いた時に検品をして、木目の向き・割れ・グリップ部のささくれなどがある場合は返品交換するようにしましょう。
斧の柄を取り扱っている店舗であれば、木目による柄の返品交換は当たり前なので、基本的には無償で対応してくれるはずです。
心配な方や返品を断られた場合は、購入店ではなく製造メーカーに写真を送って診断してもらってから購入店に返品交換を頼みましょう。

多少の斜めであったり、ヘッドまで切れずに伸びているのであれば大丈夫ですが、悪い木目の斧は振り上げた時に前兆無く折れてヘッドが飛んでいくと言われているので注意しましょう。

ちなみに赤みがかった木材は堅いので、使っていくうちにひび割れが起こりやすいと言われています。

ネックガード

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木製の柄の欠点として、打ち損じた時にネックを傷つけてしまうことによる、柄の破損の危険があります。
そのため、ほとんどの人がネックガードを装着するか、パラコードを巻いてネック部分の破損を防止しています。

斧に限らず刃物類はジョイント部の破損が多いので、ネックガードは装着するようにしましょう。

メンテナンス

自然素材なのでメンテナンスを怠ることによる破損もあります。

雨や夜露で濡れた時に水を吸ったままにしておくと、木材が腐る原因になるので拭くのはもちろん、メンテナンスオイル等で防水・防湿するのも大切です。

オイルフィニッシュ

オイルメンテナンスの用途としては防水・防湿の他に、乾燥を防止して割れを防ぐ効果もあります。
使われるメンテナンスオイルとしてはアマニ油をよく見かけますが、他にもくるみ油みつろうクリームなど自然由来のメンテナンスオイルであればオススメです。
基本的に自然由来の油は食用でも問題ありません。

オイルフィニッシュの方法は、オイルをタオル等で薄く伸ばながら塗り込み、30分程度乾かして表面に余った油を拭き取るだけです。
この工程を何度も行うことで寄り効果が上がります。

保管方法

保管方法としては、湿気の多い場所で保管するとカビの原因になるので湿気を避けた保管や、長期保管による乾燥を避けるためにオイルフィニッシュをしてからの保管が大事になります。

プラスティック製の柄

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斧には「樹脂」や「強化プラスチック」と言われるプラスチック製の柄が使われているタイプもあります。
イメージとしては「メンテナンスフリーでクセのない使いやすい柄」で、利点が多いアマチュア向きの柄になります。
木製よりも質が悪い訳ではありませんが、職人が生涯使い倒す逸品にはなり得ないでしょう。

このプラスチック製の柄の利点としては下記の点があります。

利点
グリップが良い 堅く壊れにくい
衝撃吸収性がある 耐候性がある

硬さと衝撃吸収

木製の柄では打ち損じた時にネックを傷つけて破損の危険がありますが、プラスチック製の柄は硬く衝撃吸収性もあるので、ネックを打ったとしても木製の柄より壊れる危険は低いです。
ですのでプラスチック製の柄ではネックガードも必要ありません。

また衝撃吸収の特性の一つとして、割った時の衝撃を和らげる効果もあります。
ですがこれは丸太などの大きい木材や硬い木材を相手にする時に効果を発揮するので、キャンプで市販の薪を相手に使用する場合は特筆するほどの恩恵はありません。

滑り止めと重量バランス

グリップ部分に滑り止め加工されている柄がほとんどなので、斧を振り抜く時に手が滑る危険も木製の柄より低いです。

また人工物ということで、振りやすい重量バランスを考えてネック部分にウェイトを仕込んでいる斧も多くあります。
木製の柄でもネックを太くする等で調整はしていますが、自然のものなのでプラスチック製の柄の方がシビアな調整をされています。

耐候性

木製の柄では水や湿気に左右されてしまいますが、プラスチック製の柄は天気などに左右されない耐候性もあります。
ただしキャンプでは火の近くに置くことが多いので、熱で変形したという話はたまに聞くので注意が必要です。

カスタマイズとメンテナンス

ただし木製の柄は手に合わせて太さを変えたり、滑り具合を部分的に調整したりと、自分に合わせて仕上げることができますが、プラスチック製の柄は調整をすることができません。

また柄とヘッドが一体になっていて柄の交換ができない斧が多いので、上記のカスタマイズ製などを考えても、「使いやすいアマチュア向き」の斧と言えるでしょう。

プラスティック製の柄が向いている人

アマチュア向きと言っていますが、質が悪い訳ではなく「職人の痒い部分に手が届かない」という意味なので、キャンプでの使用であれば万人にオススメできる柄です。

ですが自然志向が強いキャンプでは「人工物を減らして自然素材を使う」という人も多く、またキャンプは「自惚れ」て楽しむ部分も多いので、趣を大事にする方は木製の柄を選びましょう。

一体型の柄

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ナイフのようにヘッドと柄が一体型になっており、柄の部分にハンドル材を装着している斧もあります。
このタイプの斧は比較的安価に作れるという利点があり、全体的に細めなので軽量で持ち運びやすいタイプが多いです。

ですが柄の部分の金属が細く強度不足であったり、ヘッドも細いタイプが多いので薪に入った時に、薪が外側に逃げずに割りにくい等、「斧」として役割は心もとないです。

私は斧っぽい使い方ができるナイフという印象で見ていますが、バトニングのように背を叩く使い方には向かないので微妙な印象ではあります。
ですが市販の薪を相手に使うのであれば十分な性能ではあります。

マルチツールの如く「こんな使い方もできます」といった商品も多いですが、初心者向けキャンプ道具の選び方で書いている下記のとおりです。

一見便利そうに見えますが、個々のクオリティが「無いよりはマシ」程度と使い勝手が悪い。
もしものために備えておくツールならいいですが、使用するために購入するのならマルチツールは避けるようにしましょう。

引用元:初心者向けキャンプ道具の選び方

一体型の柄が向いている人

安くていいから斧の形状をした刃物が欲しい人には向いていると思います。
「ナイフより使いやすければ何でもいい」という方には、バトニングに向いているナイフをオススメします。

部位

斧の柄の部位について、名称や役割を解説していきます。

グリップストップ

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全般的な斧の柄に採用されている構造で、柄の末端部分を膨らませている部分をグリップストップと呼びます。
グリップ部分よりも太くすることで、振った時に手から滑り抜けるのを防止する効果があります。

木製の柄よりもプラスチック製の柄の方が大きく作られていることが多く、和斧や一部の両手斧ではグリップストップが無い斧もあります。

ソングホール

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主に手斧に多い構造で、紐通し用の穴のことをソングホールと呼びます。

ソングホールに結んだ紐に手を通すことで、手から滑り抜けても斧が飛んでいかないようにするために使用します。
紐が付属している斧は少なめで、専用品などもないので各自パラコードなどで自作する必要があります。

斧の色

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柄だけでなくヘッドも含みますが、斧によっては一部分を原色で塗装した斧も多くあります。
これは山の中で無くさないためや、地面に置いている斧を蹴って怪我をしないために目立つ色を使用しています。
主にヘッド、ネック、ハンドルエンドを塗装していることが多く、木製の柄では木目が重要なので全体を塗装することは稀です。
色としては赤・青・黄・オレンジなどの色が多いです。