手斧の種類
- 作成日
- 編集日2024-07-08
ハチェットやハンドアックスとも呼ばれる、キャンプで1番使用される片手で使う手斧について種類や特徴を解説。
概要
手斧はよく「薪割り用・伐採用・手斧」と、両手斧の区分けと同列の説明を見かけますが、手斧は用途に合わせて種類や大きさもマチマチなので、当サイトでは両手斧の用途別をベースにしたオリジナルの区分けをしています。
オリジナルではありますがキャンプでは手斧メインになるので、キャンプ向きの斧の区別としてはわかりやすいと思います。
薪割り斧 | 割る手斧 |
---|---|
伐採斧 | 切る手斧 |
はつり斧※1 | カービングアックス |
※1 はつり とは、割る切る削るの精密な作業のこと。当サイトでは成形の意味で使っています。
簡単に説明すると割る・切る・成形の用途で区別しています。
キャンプで両手斧を使うことはまず無いと思いますが、両手斧の区別(薪割り斧・伐採斧・はつり斧)をベースにしているので、両手斧を端的に解説した下記記事も軽く目を通しておきましょう。
手斧とは
手斧は片手で使う短い斧のことで、ハチェットやハンドアックスとも呼ばれる。
片手で使えるように柄が短く、重量も軽く持ち運びにも便利なので、キャンプやブッシュクラフトで1番使われる種類。
印象としてのスペックは、長さ約20cm ~ 40cmで、重さ約500g ~ 1000g。
また振った時に勢いで手から飛んでいかないように、ソングホールと呼ばれる紐通し用の穴や、グリップストップと呼ばれる柄の末端が広がった構造を取り入れた斧が多い。
長さや重さの幅も広く、小さいものと大きいものを比較すると倍以上違うこともある。
また切る割るの用途に合わせて、スプリッティングアックス(薪割り斧)やフェリングアックス(伐採斧)の小さい版として作られているイメージが強い。
キャンプで使う斧はもっぱらこの手斧ですが、上記の通り種類も多く用途も違うので選ぶのが難しい。
手斧をハンマー代わりにする
片手で使える軽い斧なので、ヘッドの背の部分をハンマーとして使用することも想定されてはいるが、柄へのダメージや背が潰れて広がる恐れもあるので注意が必要です。
トンカチのように強い衝撃を与える使い方は避けて、あくまでも叩く程度にしておくこと。
バトニング等で斧の背を叩く時も、金属や石などで叩かずに木材を使うようにしましょう。
ちなみに鋼製のヘッドを金属や石で叩くと火花が散ることがあるので火事に注意。
また背ではなくヘッドの腹で叩くこともできます。
重心がブレるので振りにくいですが、面積が広いので斧の角で対象を凹ますことなく叩くことがます。
割る手斧
丸太より細めの木材を市販の薪程度の大きさに割るために使用する斧。
割る手斧の特徴
薪に刃を食いつかせるためにヘッドが重く、刃が食い込んだ時に薪を裂きやすいように刃が太くなっている。
重さはだいたい900g以上はあり、斧らしいズッシリとした感触がある。
またヘッドのカーブはゆるく長方形に近い形になっている。
ヘッド全体が太めなので刃が付けにくく、刃付けのために研ぐのは大変。
商品としては通常の「ハチェット・ハンドアックス・手斧」として売られている。
ハスクバーナの手斧やハルタホースのスカウトが該当する。
中にはスプリッティングアックスと同じように、ヘッドの中央部が膨らんだ形状になっている楔型の斧もある。
また有名メーカーが作る手斧は握りが良いように柄がS字に曲がっている物が多く、安物は柄が真っ直ぐの物が多い。
だが下記で紹介する切る手斧やカービングアックスなどの「切る」斧は柄が真っ直ぐに近いので、「真っ直ぐ=安物」という訳では無い。
割る手斧の用途
上記の通り薪割りに特化した斧。
多少ではあるが、重さがあるので自重で落として割るのが楽に行える。
ただしキャンプでの使用では市販の薪相手だとオーバースペック感もあり、切る手斧と比べて格別に割りやすいと言う印象はないので立ち位置が怪しい種類になってしまう。
硬い広葉樹や倒木が太い野営地でキャンプをするなら、薪割り用手斧を選んでもいいかもしれない。
切る手斧
市販の薪程度の木材をさらに細く割るために使用する斧。
キャンプで万能に使用する斧を購入するのであればコレ。
切る手斧の特徴
割る手斧と比べると重量が軽く、刃も細いので刃付けがしやすいくなっている。
重量は600g~800g程度。
ヘッドの形状は下に少し伸びた三角形で、刃の部分が緩く湾曲した形状をしている。
商品としてはミニハチェットやキャンプ用と呼ばれる物が多く、ハスクバーナのキャンプ用やハルタホースのミニハチェット、ブッシュクラフトで大人気のグレンスフォシュブルークス系が該当する。
切る手斧の用途
割ることもできるが切ることも可能で、薪割りというよりもバトニング的な立ち位置。
良く言えば万能で、悪く言えば器用貧乏。
とはいえキャンプでは薪拾いで集めたとしても市販の薪程度の太さが多いはずなので、切る手斧で十分対応できる。
座ってることも多いキャンプでは、自重で落として割るよりもバトニング的に刃を食い込ませて裂いていく割り方のほうが使い勝手がよく、重量も軽いので持ち運びにも便利。
最初から多少の刃付けがされている斧もあるので、フェザースティックの作成やクラフトの成形にも使用できる。
商品を探すカービングアックス
名前の通りカービング(彫刻)に使用する斧。
ブッシュクラフトでクラフト用によく使われてる。
カーペンターズアックスとも言われる。
日本では一般的ではないが、北欧ではカービング用としていろいろなメーカーから出ています。
北欧はブッシュクラフトの本場なので、カービング重視のブッシュクラフターがクラフト用としてよく使用している。
カービングアックスの特徴
- ヘッドが扇状
- 柄の湾曲が緩い
- 刃付けされている
- 刃がホローグラインド
割る切る手斧と違う点としては、カービングアックスはナイフ並の刃付けがされていること。
刃の形状もホローグラインドと呼ばれる凹状にへこんだ形になっている。
また切る手斧と同じように柄の湾曲が緩くなっており、ヘッドの根本を持つ事が多いので柄の根元の握りを良くしている斧も多い。
重量は700g~800g前後。
ヘッドの形状は上下に伸びた扇状になっており、割る切る手斧よりも湾曲も大きめ。
ヘッド下部は海外で「bearded head - ひげ頭」と呼ばれる、刃が下に伸びて指を隠す形状になっている。
日本でも「ひげ」と読んでいるかはわからない。
基本的には北欧のガレージブランドのようなメーカーが出している斧なので、日本で簡単に手に入るカービングアックスはグレンスフォシュブルークスのカービングくらい。
ですが使用感であれは、切る手斧を研いで切る用の斧として使用することも可能。
私が持っているカービングアックスも日本で発売していないので、メーカーに直談判して特別に売ってもらったものになります。
カービングアックスの用途
薪割りではなく、木を切るために使うナイフのような立ち位置の斧。
ナイフのように刃付けをしているので、振り下ろして薪を割る方法は刃こぼれの原因になり適していない。
キャンプでも使えなくはないが、用途に合っているという点では切る手斧に軍杯が上がる。
ブッシュクラフトでクラフトをするのであれば1本あるととても便利です。