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キャンプ用携帯浄水器の選び方

  • 作成日
  • 編集日2024-08-06

キャンプで使う携帯浄水器を種類別の注意点や浄水能力を使用用途に合わせて比較解説。

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概要

携帯浄水器と一口に言っても種類やフィルターの種類が多く悩んでしまいますが、用途に合わせた種類やフィルターの選び方を解説します。

携帯浄水器と言うとサバイバル寄りのイメージがありますが、普通のキャンプ場でも水道水は川から直接引いてる場合もあるので活用の場面はあります。
また重くてかさばる水を無くせるメリットがあるので是非活用してみましょう。

川の水質階級についてまとめたページもあるので、川水の浄水を考えている人はこちらも参考にしてみてください。

キャンプ用携帯浄水器の選び方

携帯浄水器も種類が色々あり物によって使い勝手・浄水過量・フィルターの寿命・浄水スピードが違うので何を買うかはすごく大事になります。
以下の3つを基準に携帯浄水器を選んでみましょう。

  • 使用目的
  • 大きさ・値段
  • 浄水能力

使用目的

携帯浄水器で1番重要なのは使用目的です。
どんなシチュエーションで使うかや、1回の使用量や使用頻度などなど。
大人数用の水を浄水するのであれば簡単に大量浄水できる浄水器、水を持ち運くならボトル型の浄水器がなどなど。
漠然と「キャンプで飲料や料理に~」であれば大きさや値段で選んでいいと思います。

大きさで選ぶ

種類によって浄水器本体とは別に浄水前や浄水後の水を格納するポンプやボトルが必要な種類もあり、物によって携行性が変わってきます。
ですが携帯浄水器は登山やハイキングを想定されていることが多く、キャンプシーンではどの種類でもだいたいやりくりできます。
なのでバックパックキャンプやブッシュクラフトなどでない限り、大きさよりも自分の使用シーン(使用目的)を想像して選んだ方が使い勝手がいいです。

値段で選ぶ

また値段もピンきりですが、必ずしも高い浄水器が安い浄水器の上位互換という訳ではありません。
なので値段の安い高いで選ぶのではなく、目的に合った種類の中から信頼できるメーカーで選んだほうがいいと思います。

個人的には携帯浄水器は「汚い水を飲めるレベルまで浄化する」と言うよりも「可能な限り不純物を取り除ける、砂や砂利の浄水器のすごい版」という認識なので、特別安い浄水器だとしても泥水のような水じゃない限り大丈夫だろうとは思っています。個人的には…

浄水能力で選ぶ

浄水するための物なので浄水能力ももちろん大事なのですが、フィルターの種類が同じであれば浄水能力はほぼ変わりません。
基本的にフィルターの大きさは0.1ミクロンか0.01ミクロンのどちらかになると思いますが、野外での使用であればどちらでも十分な性能だと思います。

迷ったら

どの浄水器を買おうか選んでる時に個人的に思ったのは、迷ったらこれを買っとけば問題ないという「短所ない・万能」な商品が無いと感じました。
包丁で例えると万能な三徳包丁が無くて、パン切り包丁や中華包丁のような専門的な種類から選ぶようなイメージで、必ず短所が存在します。

全てを信じてはないですが、色んな商品のレビュー読んでみるとどれも一長一短でした。
水漏れする、付属品の質が悪い、フィルターが高いなどなど。長所だけでなく短所も見極めて使いこなしましょう。

キャンプ用携帯浄水器の種類

フィルターの種類もそうですが浄水器自体の種類も豊富なのが選ぶ時に悩む種。
種類としては大きく別けて以下の3つになります。

  • ボトル式
  • ストロー式
  • ポンプ式

この浄水器の種類によって使用目的が決まるので熟考して選びましょう。
また上記の3つの他に自然落下(吊るしておくやつ)の浄水器もありますが、ストロー式と併用になっていることが多いので省いています。

ボトル式

ボトル式の携帯浄水器はドリンクボトルのような形状で、水の出し口に浄水装置が着いているタイプ。

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Platypus META BOTTLE MICROFILTER

ポジティブレビュー

ボトル式のメリットとしては水を入れたまま持ち歩けることです。
目的地に水場がない場合に道すがらの川で吸水して目的地まで持ち運ぶなど、登山などに向いています。
キャンプでは水場が近くにない野営や、使う分だけ都度浄水するという使い方が可能です。

またストローやポンプ式では別容器が必要ですが、ボトル式では必要ありません。

ネガティブレビュー

デメリットは余計な荷物がいらない分かさばること。
他の浄水器ではプラティパスのようなパウチを使用するので収納時はペラペラになりますが、ボトル式はコンパクトにならないので常にペットボトルくらいのスペースを必要とします。
水を持ち運ばなかったり、煮沸消毒する為に一気に浄水するのであれば、ボトル分余計なスペースになってしまいます。

水を持ち運ぶ人や、浄水前の水を保管したい方にオススメ
商品を探す

ストロー式

ストローのように吸って浄水するのでストロー式と呼ばれています。
容器が別売りのタイプも多いので「吸うタイプ」と紹介されますが、ほとんどのストロー式がプラティパスのようなパウチを接続できるようになっており、押し出したり自然落下させて浄水できる万能型でもあります。

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ポジティブレビュー

ストロー式のメリットは容器が無いので携帯に便利なところ。
また容器として使用するパウチもコンパクトに携帯できるので、収納サイズは断トツで小さい。

意外と気付かれにくいですが、他の2タイプと違い可動部がないので使い古しても壊れにくい利点もあります。
パウチや付属のストローは破けたりしますが、本体はフィルターだけのシンプル設計なので故障の心配はありません。

ネガティブレビュー

デメリットは浄水速度が遅いことと、浄水に労力がいること。
ボトル式は口も大きく容器も押しやすく、ポンプ式は名前の通り楽に浄水できますが、ストロー式は押しにくいパウチを使用する上に口が小さいので浄水に力が必要です。
疲れるほどではありませんがとても退屈です。

また吸う方法しかできないタイプは、浄水した水を別容器に入れられない不便さもあります。

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ポンプ式

井戸から水を汲み上げるようにポンピングして浄水するポンプ式。
浄水が楽で、フィルター性能が高い商品が多い。

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KATADYN HIKER PRO

ポジティブレビュー

ポンプ式のメリットはなんと言っても浄水量(浄水の楽さ)が他2種と比べ物にならないとこ。
ボトル式もストロー式も浄水前の水を別容器に入れてから浄水する必要があるのに対して、ポンプ式は吸い口がホース状になっているので川に入れてポンプするだけ。
それでいてボトル式に引けを取らないコンパクトさなのも魅力的です。

また値段も高くなりますがフィルター性能が高い商品が多く、浄水力の高さで選ぶならポンプ式一択と言っても過言ではないレベル。

ネガティブレビュー

デメリットとしては信頼できるメーカーに絞ると安い商品が無く、本体だけで数万円と高価なところ。
また浄水後の水をいれる容器が別売りだったりもするので、製品+αで費用がかかります。

他の2つの浄水器と比較すると、ポンプ式は可動部があるので故障のリスクもあります。
壊れやすいという訳ではありませんが、よく物を壊す人は注意しましょう。

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フィルターについて

やはり浄水器と言えば気になるのがフィルター。
謳い文句でも「こんなにすごい」など色々言われるので気にしがちですが、フィルター性能はメーカーによる違いはないので宣伝文句は無視して、フィルターの種類や各種数値だけ見て判断しましょう。

下記画像はフィルターの大きさ別に除去できる対象をまとめたグラフをになります。

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キャンプで使用されるであろう携帯浄水器で使われるフィルターは下記3種になります。

  • 中空糸膜
  • セラミック
  • 活性炭

中空糸膜

よく蛇口につける浄水器に入ってるそうめん状のアレ。

大きさ0.1ミクロン~0.01ミクロン

精密濾過膜というフィルターの穴の大きさで、99.9%以上の細菌を取り除けるフィルター。
この精密濾過膜以上の性能になると、海水を真水に変えるレベルのフィルターになるので、実質的に一般利用下での最強のフィルター。

また細菌は99.9%以上除去できますが、溶解した重金属や有害ミネラル系は素通りします。
この場合浄水器どうのこうのってレベルではないですが…

またフィルターが細かいので、他のフィルターに比べて浄水速度が遅い。

セラミック

中空糸膜より浄水性能が多少低いが、浄水速度はセラミックの方が早い。

大きさ0.01ミクロン~

このフィルターを通すとミネラルに変化が起こり、味や肌あたりに影響があるので家庭用浄水器ではマイナスイオン的な胡散臭い宣伝文句が目立つセラミックフィルター。
ちなみに中空糸膜よりも高価ですが性能がいい訳ではなく、単にコストが高かったり詐欺まがいのメーカー対策として値段を釣り上げてるという一面もあります。

上記のような悪い印象が多いですが家庭用浄水器に限った話で、アウトドア用の携帯浄水器ではそんなに悪い話は聞かないので毛嫌いはしなくて大丈夫です。

活性炭

炭を高熱処理したもので消臭材にも使われる活性炭を使用したフィルター。

大きさ0.1ミクロン

フィルターの寿命は短く定期的な交換が必要。
浄水性能よりも家庭用として脱臭効果を求めた製品が多め。
もちろん浄水器の活性炭も脱臭効果あり。

よく不純物を吸着して除去すると言われますが「吸着力が無くなったように効果が無くなる」から吸着と言われるだけで実際には吸着しておらず、化学変化的なことが起こっているらしい。

その他

他にも不織布やイオン交換や逆浸透膜などなどありますが、"携帯"浄水器のフィルターとして数えられないので除外しています。

不織布はそのまんま布のことで、メインのフィルターというよりも濾過前に不純物を物理的に取り除く程度の物。携帯浄水器にもサブフィルターとして入ってる物もある。

イオン交換は水の硬度を上げている成分を除去したりするので軟水になったりするフィルター。
携帯浄水器では見かけない。
逆浸透膜は海水を真水に変えちゃうくらいのフィルターでアウトドアで使う携帯用というよりも災害用に近い。

ちなみに逆浸透膜で濾過した水は必要なミネラルも除去するほど純水になりますが、純水すぎて身体のミネラルを吸収してしまい、慣れない人が飲むとお腹を下す人もいるらしいです。

買おうとした携帯浄水器

個人的買おうとした商品を種類別に紹介します。

ボトル式

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KATADYN - BeFree

ボトル式の欠点の収納性を補える折り畳めるソフト素材で、信頼の置けるカタダインと言うメーカー。
フィルターは0.1ミクロンの中空糸膜で寿命は1,000リットル

ストロー式

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SAWYER PRODUCTS - mini

もうストロー式と言えばこれでしょう。ジッパーと言えばYKKというくらい、ストロー式と言えばソーヤー。
フィルターは0.1ミクロンの中空糸膜で寿命は38万リットルという天文学的な数字。

ソーヤーミニについてはレビュー記事も書いているので参考にしてみてください。

ポンプ式

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MSR - Miniworks EX

本当はMSR Guardianが欲しかったのですがかなりの高額なので、その下位的な立ち位置のMiniworks EX。
フィルターは0.2ミクロンのセラミック製で寿命は2,000リットル。

簡易濾過器の作り方

サバイバルとかでペットボトルに炭とか石とか入れて作るアレ。
作り方も色々ありますが、定番の物をご紹介。
実際に作るとなると「材料を集めて1つ1つ洗浄して」と作るのに時間がかかる上に、濾過するのに時間がかかる割には1回では濾過しきれないのでけっこう大変です。

  • ペットボトルの底を切る
  • ペットボトルのキャップに小さい穴を開ける
  • 材料を別々に洗う
  • 材料をペットボトルに入れる
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図左は濾過しながらどんどん水を入れられるので早く濾過できる方法。
意外と紹介してる資料が少ないレア方法。

木炭は棒状に書いてますが、細かく砕いたり大きいのだったり大小様々なのを入れると尚良いとのこと。
図では書かなかったですが、最後(蓋の方)に布やティッシュを入れるのもよくある方法です。

作る時の注意点としては、上から下までギチギチに詰めると水が落ちていかないので詰めすぎ注意(詰め無さすぎも注意)。

この濾過装置は不純物を取り除くための物で、菌や微生物は取り除けないので注意してください。これで濾過した水を使う場合は必ず5~10分くらい煮沸してください。正露丸のお世話になりますよ。

最後に

簡易濾過器の作り方でも話しましたが、自然の水を飲食に使う場合は煮沸は大事になります。
菌は5~10分ほど煮沸すれば死ぬので、緊急時以外は煮沸するようにしましょう。