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生地の選び方

  • 作成日
  • 編集日2024-07-05

防寒や夏を快適に過ごすための生地の選び方など色んな生地の特性を徹底解説。

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概要

まず初めに、いろんな文献を探して調べたんですが、ほとんどの記事で「〇〇性が優れている」としか書いておらず、「どの生地より優れてる」や数値的な指標が出てきませんでした。
【吸水○ / 速乾×】でも【吸水× / 速乾○】でも「水に強い素材です」と言っていたり。
あと厚さや織り方や生産国などでも特性が全然違ったりするんですよね。しかも合成繊維の合成の割合でもまた変わってくるし。
なので性能や特性は商品ごとに調べる方が良さそうです。
それに吸水性で見ても、汗は吸水してくれる方がいいけど雨は吸水しない方がいいなんて時もあるしね。

この記事では「だいたいこんな特性」って感じで見てくれるといいかも。

天然繊維

天然繊維は読んで字のごとく天然素材から作られる繊維のこと。
天然繊維の中でも植物繊維と動物繊維の2つに別れてると言われるが、実は鉱物繊維なんてのもある。けど鉱物繊維はアスベストくらいしかないので割愛。
肌への負担が少なく吸湿性が高いが、劣化や変色を起こす。

天然繊維 [植物繊維]

植物を原料とする繊維のこと。
熱や水に強く、摩擦の耐久性もある。

綿/コットン

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綿/コットン
吸水性 吸湿性
発散性 × 通気性
保湿性 保温性

コットンは綿(わた・めん)の繊維から作られる生地。木綿とも呼ばれて読み方も「もめん」とも「きわた」とも読まれる。
衣類ではインナー・アウター・下着・靴下など幅広く使われていて、タオルやガーゼなどにも使われる万能生地。
キャンプではテントやタープに使われたり、ポリエステルと合わせたポリコットンなどに使われている。

メリット

肌触りが良く染色もしやすいので衣類ではメジャーな生地。
色々な織り方ができて、その織り方や綿の種類や他の素材との混合されたりして特徴も用途に合わせて変わってくる。
通気性が良く吸収した汗と一緒に熱も発散するので涼しく感じるの生地。

丈夫なのでラフな使い方をしても問題はないが、乾燥機などで急速に乾燥させると縮んだりシワになったりするので極力自然乾燥させるほうが良い。

デメリット

吸水性が高い上に乾燥しにくいので登山など汗をかくシーンでは衣類が重くなったり身体を冷やす原因にもなるので注意が必要。
また濡れると保温性や保湿性が落ちるので登山では死の素材なんて呼ばれることもある。
カビやすい生地でもあるので濡れた場合はしっかり乾燥させること。

キャンプ

テントなどに使われる時は厚めに作られるので衣類と比べて耐久性は抜群にいい。
ポリエステルのテントよりも通気性の良さで涼しく、遮熱性の良さでテント内を暖かく保ってくれるので、夏でも冬でも使える万能生地。
ポリエステルと比べて遮光性も高いので閉め切ると昼間でも真っ暗になるくらい光を遮る。
またコットン自体が水分を吸収してくれるので結露や夜露にも強く、溶融にも強いので焚き火の火の粉や熱を受けても溶けたりしにくい。ただし溶融には強いが1度火が付いてしまうとポリエステルなどよりも燃え広がりやすいので注意が必要。

雨などで濡れてしまうと重くなり乾燥もしにくいので、細かい部分が乾燥させきれずにカビてしまうことがある。

麻/リネン

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麻/リネン
吸水性 吸湿性
発散性 通気性
保湿性 保温性 ×

麻は植物の茎などから取った採取した物を原料とする繊維。
通気性や蒸散性が高いので夏物の衣類に人気の生地。
キャンプでは火口として麻ひもが使われたり麻袋なども人気の品。

メリット

ミイラを包んでいる包帯も麻なので耐久性は折り紙付き。麻ひもや麻袋なんかにも使われているくらいなので引っ張り強度も強い。
また水に濡れると強度が増す特性もある。
吸水性が良いのは綿と一緒だが、麻は発散性もいいので非常に乾きやすい。

保湿性が低いので蒸れを防げるので就寝用手袋なんて商品もあるくらい。

デメリット

毛羽立ちやすくチクチクするので嫌がられたりもする。
また伸縮性が無いので衣類ではゆったりサイズの物が一般的。
あと着火しやすい生地なので火の近くに置いておくと火の粉などで簡単に火がついてしまう。

天然繊維 [動物繊維]

動物の毛や繭などを原料とする繊維のこと。
動物が防具として身にまとっているので保温性や保湿性に優れている。

ウール

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ウール
吸水性 × 吸湿性
発散性 通気性 ×
保湿性 保温性

ウールは羊の毛を使用した繊維のこと。
冬のアウトドアには欠かせない1品。

メリット

やはり1番は保温性と油を含んでいることによる撥水性。また発散性が良いので濡れても温かい生地の代表格。

その上、空気を含むような構造になっていて通気性が高く吸湿性も良いので、汗をかいても蒸れにくいという特性まで持つ。
火にも強めなので多少の火の粉ならへっちゃら。

デメリット

とても縮みやすい生地なので洗濯には気をつけなきゃいけないのと、洗濯することで撥水性の元にもなっている油分が落ちてしまい性能が落ちたりする。慣れてない人はクリーニングに出す方がいい。

絹/シルク

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絹/シルク
吸水性 吸湿性
発散性 通気性
保湿性 保温性

シルクは蚕の繭を原料とする繊維のこと。
光沢があり肌触りが良いので高級品に使われることが多い。サテンにも使われている。

メリット

綿の1.5倍ほどの吸湿性があり保温性・保湿性・速乾性なども綿以上に優れており、非常に軽いのも特徴の一つ。
肌触りの良さからインナーや下着に使われることも多い。

デメリット

洗濯可能のシルクもあるが水に弱いので基本的には洗濯機での洗濯ができない。また汗染みなどもできやすい。
日光にも弱く耐久性は低め。

カシミア

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カシミア
吸水性 吸湿性
発散性 通気性
保湿性 保温性

カシミアはカシミアヤギと言うヤギの毛を原料とする繊維のこと。日本では消費者庁の表示法で「カシミ」表記になっている。
軽く肌触りが良く光沢もあり生産量が少ないので高級生地の第一人者として君臨している。

メリット

特性はウールに非常に似ており、吸水性・保温性・保湿性・発散性が高い。
さらにウールよりも肌触りが良いのでチクチクすることもない。また繊維が細いのでウールより保温性は高い。

デメリット

強度が弱く高級なものほど繊維が細かくなるので摩擦でも大ダメージになる。また繊細なので手入れも大変。

ちなみにカシミとカシミの違いは、ダイモンドとダイモンドと一緒でただの発音の違い。

化学繊維

人工的に作り出した繊維のこと。天然繊維にない特性を付けた物が多い。
吸水性は低いが、速乾性や撥水性が良く耐摩擦にも優れている物が多い。
細かく分類すると合成繊維、半合成繊維、再生繊維、無機繊維などに分かれる。

ポリエステル

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ポリエステル
吸水性 × 吸湿性 ×
発散性 通気性 ×
保湿性 × 保温性 ×

ペットボトルと同じ原料の繊維で、最もメジャーな化学繊維。コットンに似せて作った化学繊維。
他の繊維と混紡されることが多いので個体での性能は語りにくい。

メリット

成形の強さがあるのでシワや型崩れが起きにくくとても頑丈。
元々吸水しにくい上に速乾性能まで備えている。

デメリット

吸湿性や通気性が悪いので蒸れやすい。
着火しやすいので火の粉には注意。一度火が着いてしまうと一気に広がることもある。
また熱を与えただけでも溶けて変形してしまう。

キャンプ

テントやタープによく使われている生地。
コットン製品と違い、撥水性の高さから薄く作れるので軽くコンパクトになる。
その反面やはり火と熱には弱く、火の粉で簡単に穴が空いてしまう。
また通気性がないので風を完全に遮ってしい、テントでは蒸れたり熱がこもったりもする。

ナイロン

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ナイロン
吸水性 × 吸湿性 ×
発散性 通気性 ×
保湿性 × 保温性 ×

「蜘蛛の糸よりも細く、鋼鉄よりも強い」がキャッチコピー。絹に似せて作った化学繊維。

メリット

こちらも成形が頑丈。伸縮性や弾力性の高さからストッキングやスポーツウェアによく使用される。
軽さや耐久性はポリエステルよりも勝っている。

デメリット

ポリエステルより熱に弱いのでさらなる注意が必要。また蒸れやすいのもナイロンの方が上。

キャンプ

ナイロンもポリエステルのようにテントやタープでよく見かける生地。
ポリエステルよりも軽く火に弱いので登山向きのテントに使われることが多い。

混紡素材

複数の素材を合わせた素材のこと。
合わせる素材の長所を合わせたり短所を補うために使われることが大半だが、コスト削減のために混合されることもある。

ポリコットン

ポリエステルとコットンを合わせた生地。T/Cとも表記される。
混紡割合によって特性も変わる。

メリット

ポリエステルの丈夫さ撒水性や乾きやすさと、コットンの通気性や耐火性や肌触りを併せ持っている。

デメリット

ポリエステルと比べると重くカビやすい。

キャンプ

テントやタープで使われている生地。
火の粉と水(雨)の両方に強いが、火はコットンに劣り水はポリエステルに劣る。
文字で見ると中途半端なイメージだがコットンの欠点を補った生地として見ればメリットは大きい。

シルナイロン

ナイロンをシリコンコーティングした生地。
バッグやテントに使われていることが多い。

メリット

ナイロンよりも防水性が高い。

デメリット

コーティングしているので通気性が悪く引火度も高くなっている。

ポリウレタン

基本何かの生地に混紡されるような繊維。衣類だけじゃなく断熱材やスポンジなどにも使われたり合成皮革にも混紡されたりしている。

メリット

伸縮性が高いのでストレッチ性のある生地を作る時に混紡される。また重量も軽いのでスポーツウェアなどにも使われたりもする。

デメリット

日光などの影響で経時劣化してしまい寿命が短い。
古くなった合成皮革の皮がボロボロと剥がれているのはポリウレタンが劣化しているのが原因。

編み方の名称

生地の素材自体は上記で出てきた物だけど編み方によって生地名のように使われることがあるのでその子たちの説明。

デニム

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デニム

ジーンズで有名なデニム生地。
素材としては綿が使われている。染めた綿と染めてない綿を使用して綾織りと呼ばれる織り方をした生地をデニムと呼ぶ。
最近は色んな繊維と混紡されるので性能もまちまち。

メリット

綿を厚手にしっかりと織るので硬さもあり耐久性に優れている。硬さは使用するほどに柔らかくなり使用者に馴染んでくるのが特徴。厚いので保温性も高くなる。

デメリット

綿よりも厚いので通気性が悪く重量も重くもなり、濡れると綿以上に重く乾燥しにくいので夏場や汗をかく登山やスポーツには向かない。

インディゴの染色は安定性が低いので擦れたり濡れた場合に色落ちしやすい。色が落ちるだけではなく接触している生地に色移りしてしまうことがあるので注意が必要。
洗濯する場合は他の物と混ぜずに生地を裏返して洗濯すると色落ちが少なかったり色移りの心配がない。

ニット

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ニット

ニットは1本の糸で編んだ生地のこと。どの繊維を使うかで性能も変わってくる。
ニットは日本語で「編む」。生地っぽい印象が強いが単純に編み方の名称

ジャージ

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ジャージ

ジャージも生地のイメージが強いけど「ジャージー編み」という編み方をされた生地のこと。
一般的に想像するジャージはポリエステル製の物。綿でジャージー編みした物はスウェット。

サテン

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サテン

サテンは混紡素材を使用して「しゅす織り」という織り方をされた生地。
綿、絹、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなど色んな素材が使われている。

その他

キャンプなどで見かける生地…というか素材?

カーボンフェルト

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カーボンフェルト

耐熱素材のフェルト。
元々は溶接の火花の保護材に使われていた生地だが、キャンプでも焚き火台の下に敷いて地面の保護に使われるやつ。

実はアルコールストーブにも使われることがあり、カーボンフェルトにアルコールを染み込ませると安定するんだとか。