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ノコギリの種類

  • 作成日
  • 編集日2024-07-05

ノコギリの形状や刃のことなど色々なノコギリの種類から、銃刀法に関することや手入れ方法も解説

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概要

「ホームセンターの安いやつ」を使う人も多く、ノコギリを吟味してる人は多くないですが木を木目と直角に切るのは重労働なので、用途に合ったノコギリを選んでみましょう。(キャンプでみかける人気のノコギリなら大概問題ありませんが…)

ちなみにこの記事ではキャンプで使用することを想定してノコギリの解説を書いています。
木工や大工などではまたと思うので注意してください。
またキャンプでも焚き火台の大きさや、山に生息する木の種類など千差万別だと思うので、「大きい薪も入れられる焚き火台ならコンパクトなノコギリにする」等、自分に合ったノコギリを探しましょう。

法律について

よくネットで「ノコギリは銃刀法じゃなくて軽犯罪法」と見かけますが、ノコギリも銃刀法で定められる刃物に該当します。
なので刃体が6cmを超えれば「刃体の長さが6センチメートルを超える刃物」として見られます。
刃渡りじゃなくて刃体ね。

ノコギリの刃体が6cmを超えていれば「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、これを携帯してはならない。」と定められていて、警官に「該当する仕事やキャンプなどの行き帰りの最中」と証明できる状態でないと違反となり懲役又は罰金になります。

注意しなきゃいけないのはキャンプ帰りだとしても「帰路から離れて遊んでる時」など別の行動をしていると、正当な理由に該当しない場合があるらしく「刃物を携帯してる時はできる限り直行直帰して欲しい」とのことです。
2020年7月20日に警視庁 生活環境課 銃砲刀剣類対策係に直接聞いた情報です。

正当な理由に該当しない場合についての個人的見解は記事の最後に書いています。

刃の形状

木は繊維状になっているので切る方向や硬さによって切りやすい刃が違い、用途にあったノコギリを使わないと切りにくくなります。

引き鋸・押し鋸

湿気の多い日本では木が太く大きく育つが、欧米などの乾燥した気候では細く硬く育つので国によってノコギリの刃の付き方が変わります。

引き鋸

引き鋸は主に日本のノコギリで採用されてる形状のこと。引いて切るってやつですね。
厳密にはトルコなど他の国でも採用されてますが、日本のノコギリは引いて切るって覚えておけば大丈夫。
軽い力で切れるので刃を薄くでき正確性も高いが、オガクズが切り口に溜まりやすく薄材で引っかかりやすい。

押し鋸

押し鋸は主に欧米のノコギリで採用されてる形状。こちらは押して切るノコギリ。
押す方向に刃がついてるので体重を乗せて力を掛かて切れるが、引き鋸よりも刃が太くなる。またオガクズが溜まりにくい。

縦挽き/横挽き/茨目/万能目

木をどの方向に切るかによって刃の付き方が変わります。
キャンプではもっぱら横挽き。

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縦挽き / ガガリ目

縦挽きは木目に沿って切るためのノコギリ。昔はガガリ目と呼んでいた。
キャンプでは主に斧とナイフの役目なので縦挽きを使うことは滅多に無い。
目の一つ一つがナイフの様な刃で繊維を切り裂いていくイメージ。

横挽き / 江戸目

横挽きは木目と直角に切るためのノコギリ。昔は江戸目と呼んでいた。
キャンプでは薪を短く切る時に使うことが多いので断然こっち。ちなみに片刃のノコギリの大半は横挽き。
目が左右交互に付いていて2つの刃で繊維を切り取っていくイメージ。

斜挽き / 茨目 / 万能目

茨目は斜挽きとも万能目とも呼ばれる木目を斜めに切るためのノコギリ。縦挽きと横挽きの両方の目がついてる刃。木屑をかき出しやすい構造になっているらしい。

アサリ

アサリとは刃が外側にはみ出している形状のノコギリのこと。刃幅よりも太く切ることによって刃と切断面が接触しないようになり、引っかかりや抵抗が無く切りやすくなる。
木屑もかき出しやすくなるが切断面にアサリ特有の横線が入ってしまう。
キャンプでは切断面の綺麗さは関係ないので積極的にアサリたい。

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シルキーというメーカーでは独自の構造で切れ味と切断面の綺麗さを実現しているらしい。詳しくはオフィシャルサイトを参考にしてみてね。

荒目/細目

たまに荒目や細目と書いているノコギリがありますが、実はノコギリにそんな規格はないらしい一部で俗称的に使われているだけなんだとか。
基本の物が荒目と言われ、細目が工作などの細かい作業や細い枝に使いやすくなっている。
メーカーの説明を見ても細目の方が切れる物が多い程度で明確な違いは書かれていない。

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カーブ/曲刃鋸

刃の部分が円形に曲がっているカーブソーとか曲刃鋸とか言われるもの。
丸まっていることによって木に食い込むように刃が入っていくので切りやすい。
ただキャンプでは地面にも当たりやすいので、苦手な人は逆に切りにくく感じる。

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ノコギリの形状

両刃鋸

両刃鋸は刃の両側に縦挽きと横挽きがついてるノコギリのこと。
基本は大工などで色々な方向に切る時に使う物。
キャンプ用に作られてるconifer coneのノコギリは横挽きと茨目になってる。

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折り込み鋸

キャンプで使うならこれ。折りたたみ式のノコギリ。
刃が取替式になっていたり、刃の角度を変えられる物もある。
また携帯する物なので薄く軽く作っているノコギリが多い。

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バックソー

組み立て式のロの字型のノコギリ。簡単にクラフトができるのでブッシュクラフトでよく使われている。
側面部分を挟んで固定すれば、木の方を動かして切ることもできる。

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ワイヤーソー

ワイヤーソーと呼ばれるチェーンソーの刃だけのようなノコギリ。両端を持って交互に引いて切る。
携帯性はいいが疲れるし手が痛くなるので注意。
両端にロープをつけて延長して高枝切りに使っている人が多い。

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海外では足が抜けないもしもの時にも役に立つよっておふざけ動画もあったり。クレイジー。

その他

他の種類はキャンプでは使う機会がほぼ無いのでざっくりと。

竹挽鋸竹用のノコギリ。竹は繊維が硬いので専用の物が出ている。
釘挽鋸飛び出たダボを切るように薄くしなり、切断面もキレイに切れるノコギリ。
両手鋸左右に1人ずつ両手で持って2人で使うノコギリ。
糸鋸曲線を切るためのノコギリ。
金切り鋸金属やプラスチックを切るためのノコギリ
手曲鋸丸太や太材を切るのに使うノコギリ。ガングリップと呼ばれるノコギリもある。
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キャンプに向いているノコギリ

キャンプやブッシュクラフトでは下記の3点が揃っているノコギリを使用しましょう。

  • 横挽き
  • アサリ付き
  • 折り込み鋸

横挽き

キャンプの薪割りでは斧やバトニングを利用するので横挽きのノコギリ。
片刃のノコギリは基本的に横挽きなので縦挽きを選ぶことはまず無いと思いますが、万能目を選んでしまわないように注意しましょう。

アサリ付き

シルキーでは独自の製法なので「アサリなし」という名称なので注意してください。
キャンプでは燃やすために切るので、切り口の綺麗さを捨てて切りやすいアサリありのノコギリを選びましょう。

折り込み鋸

持ち運ぶ物で刃の保護も必要なので、折り込み鋸か鞘付きのノコギリを選びましょう。
組み立てる必要がありますが、ブッシュクラフトが好きな方はバックソーもオススメです。

刃の長さ

ノコギリの刃渡りは市販の薪を切るなら200mm~240mm前後あれば大丈夫だと思います。
切りやすさを捨てて収納性を選ぶ時は200mm以下でもいいですが、ノコギリ作業は重労働なので200mm以下はオススメしていません。
市販の薪ではなくて山の倒木などを切る時は300mm前後あると万能に使えます。

大きいノコギリは細い枝が苦手で、小さいノコギリは太い枝が苦手と、大は小を兼ねないので野営とキャンプで使い分ける気持ちで購入しましょう。

ノコギリでの切り方

【ノコギリ 切り方】等で検索すると「30度の角度で~」とよく見かけますが、キャンプで薪を切り分けるのは木工用の切断とはシチュエーションが違うので、鵜呑みにしすぎないようにしましょう。と、個人的に思っています。
もちろん使い慣れてる人は慣れた使い方が1番切りやすいと思うので、その使い方で切りましょう。

1:台に置く

地べたに置いた状態では切れないので、台替わり使えそうな石や他の薪を利用して薪が浮くようにしましょう。
1番理想的なのは平らな場所で、切り落とす側が宙に浮くようにすること。※画像下
保持側と切り落とす側の両方が固定されてるとノコギリを挟み込むように力がかかり余分に力が必要になります。画像上

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2:固定する

薪が動く時は足で踏んだり手で押さえて切りましょう。もちろん上の項の通り、落とさない側を固定すること。
私は枕木を2本置いた上に切る薪を乗せて「片仮名のキの字型」にして、切る薪が真っ直ぐ浮いている状態にして踏んで固定することが多いです。

3:切り口を作る

まずは軽く2~3回引いて切り口を付けます。
いきなりガシガシと本切りするとノコギリが右に左に踊ってしまうので、軽く2~3回切り口を付けてあげると切り進めやすくなります。

4:本切り

ノコギリが薪に数ミリ入り込んだらここから本切り。
ノコギリのお尻の方を持って引く時に薪に押し当てるイメージで、刃の頭からお尻まで全て使って切るように大きく動かして切っていきます。

力を使わない引き鋸なので、ノコギリを力いっぱい押し引く必要はありません。薪をがズレないように支えてる方の手に力を入れてあげましょう。
力みなぎるプロレスラーではなく、軽快な身のこなしの忍者になったつもりで滅多斬りにしましょう。

5:折る

硬さや太さにもよるのでどの程度切るかは薪次第ですが、ノコギリが薪に7~8割入ったらキットカットの様にポキッと折ってしまうのも楽です。
両端を手で持って膝を視点に切り口を開くように力を入れてポキっとしてもいいですし、薪が斜めになるように何かに立て掛けて踏んづけてもOK。
折るとささくれが出来る場合があるので怪我に注意しましょう。

備考

建物にも使われていて車に突進されても折れないような頑丈な物を人力で切るという、ノコギリの作業は基本的に大変です。
体力に自身が無い方は薪をそのまま入れられるような、ノコギリを必要としない焚き火台を使うのもアリです。

ノコギリの手入れ

目立てと言われる研磨や普段のキレイキレイについて。

普段の手入れ

環境にも左右されますが、水分と木クズをしっかり取っていれば基本的には錆びたりしないので、使ったら必ず拭き掃除をしていれば大丈夫です。
シルキーから木のヤニ汚れを溶かして落とすヤニクリーンや、錆止めのアイアンガードなんてのも出ているので、愛玩具を愛でるのが好きな方は活用しましょう。
個人的には普段はエアダスターやタオルで汚れを取るだけで、定期メンテナンスな時に556をタオルに吹いて刃を磨いて防錆しています。防錆剤は付けすぎ注意。

錆びないように防錆紙で包むと聞くこともありますが、倉庫に寝かすような長期保管の時に使うくらいで大丈夫です。
最近のメーカー物はそんな簡単に錆びません。

ノコギリが錆びたら

錆が発生したらサンドペーパーでしごいて落としましょう。
研ぐ場所に潤滑油を塗り、400~600番のサンドペーパーで研ぐだけ。私は研磨傷を取るのが面倒なので600番くらいでやることが多いです。

錆が深い時はロウを塗り込んで錆が広がらないようにしましょう。
錆をある程度研いだら、ロウソクのロウをゴシゴシ広い範囲に塗り込んで最後に余分なロウを取ればOKです。

目立て

ナイフで言う研ぐってやつですね。
注意しなきゃいけないのは替刃式のノコギリや焼入れされてる刃のノコギリは目立てがNGです。
刃が硬くヤスリの方が負けてしまうので、刃がダメになった場合は基本的には交換になります。

やり方としては刃を1本1本目立てヤスリで研ぐだけ。
万力などでノコギリを固定して潤滑油をヤスリと刃に塗ってから刃の前後を2~3回研ぎましょう。上目がついていればそこも研ぎます。

アサリの研ぎはやったこと無いのでわかりません…。

法律について(正当な理由に該当しない場合)

最初の法律の項で出てきた「キャンプの帰りだとしても正当な理由に該当しない場合」の個人的見解になります。

警視庁の担当の方と話した時に感じたのは「例え正当な理由で所持していたとしても、危険物を所持しているので安全を期して逮捕する可能性がある」です。※実際に言われたわけではありません

場所・時間・行動・容姿・服装・刃物の種類・本数なども起因すると思うので、治安が悪い場所にいたり、見た目が強面だったり、キャンプの行き帰りに寄らないような場所にいるなどの場合は注意が必要かもしれません。

特大ノコギリ

あと私が刃渡り50cm全長1.1mのシルキーカタナボーイ500を持っているのでそれに関しても色々聞いてみたところ、逆に質問責めされながらも(担当の方の興味本位)「どんな大きさであれ正当な理由であれば大丈夫」ってお墨付きをもらいました。
ただ「こうなら大丈夫とは言い切れないので正当な理由かどうか心配なら携帯しないのが1番です」とも言われたので、見た目のイカツイ刃物を携帯する時は要注意です。

正当な理由は法律と照らし合わせて警察に判断してもらうことよりも、刃物の持ち主が警察に証明することの方が大事なんだなって印象でした。