ランタンの種類

LED、オイル、ガソリンのメジャーなランタンからカーバイドランプ、カンテラ、 カンブリアンランタンのことまで徹底解説
概要
種類や機能も豊富で趣味趣向色も強いランタンちゃん。色んなタイプのランタンを超解析!
ランタン1つで夜のキャンプがガラっと変わるからエンドルフィンが過剰分泌されるような好みに刺さるランタンを見つけてちょ。
名称の違い
ランタンを探してると名称の違いが見受けられるのでそれの解説。
ランプ
照明として使う物を総称してランプと呼ぶ。
ランタン
「手に持って運べるランプ」のこと。
カンテラ
カンテラはオランダ語の言葉で、英語ではキャンドルホルダーやキャンドルスティックと呼ばれるもの。文字通りロウソクを光源とする照明のこと。
今の日本ではロウソクを使用した物ではなく、鉄道や船舶で使用されていたランプを指してカンテラと呼んでいる。一部鉱山用も含む。
ガソリンランタン
ガソリンランタンはホワイトガソリンを燃料とするランタン。
燃料を入れてポンピングすることよってタンク内を加圧してから点火するとマントルが発光する仕組み。
メリット | |
---|---|
明るい | 高所や寒冷地でも安定する |
燃料の併用ができる | 半永久的に使える |
デメリット | |
燃料が高価 | 燃料が入手難 |
コンパクトな物がない | 燃焼音がする |


今じゃコールマンくらいしか見かけないほどランタンの種類が少ない。
ホワイトガソリンはランタンだけじゃなくてシングルバーナーなどの燃料にも使われてるから燃料の併用が可能で、全てホワイトガソリンのギアで揃えちゃえば燃料の荷物が減る。(あんまり見かけないけど)
1番の特徴は高所や寒冷地でも安定して使えるところかな。シングルバーナーなんかは元々米軍に「寒くても標高高くても使えて小さく作れ」って言われて作ったくらい頑丈にできた品。
ちなみにコールマンは元々ガソリンランタン専門のメーカー。
あとコールマンから出てる一般的なガソリンランタンで言えば光量も多くてランタンの中で1番明るいと言っても過言じゃない。僕もあまりに明るいからあんまり全開で灯さない。
鉱山ランプ・揮発油安全燈・ウルフ灯・デービー灯なんて言われるものでも”一応”ホワイトガソリンが使えるけどこれは明るくない。ライターに毛が生えたような雰囲気ランタン。
販売してる店なんかはガソリン推薦してないけど”一応”使える。煤が多くてメンテが大変なだけ。
コールマンがしっかりランタンの部品も小売りしてるからメンテをしっかりすれば大破でもしない限り半永久的に使える。
僕が使ってるノーススターも父親が使ってた物をメンテして譲り受けた物。


欠点としてはホワイトガソリンがアウトドア用品店とかでないと入手できないとこかな?旅先に持って行くにはなかなか不便。
あと構造的にランタン自体が大きくなっちゃうからバックパックキャンプでは持って行くか悩むところ。
またマントルも息を吹きかけただけでホロホロと崩れるほど弱いので倒したりするとマントルが割れて使えなくなる。予備を持っていないと光源なしになりかねない。
バイク移動なんかも注意。
あと燃焼音が結構うるさいかも。
LEDの民達よ、父より受け継ぎしガソリンランタンの明るさを思い知るがいいフハハハハ pic.twitter.com/HpE6YIKFps
— はしりゅうのキャンプ垢 (@paris_sorry_2) February 27, 2020
オイルランタン
灯油(ケロシン・白灯油)またはパラフィンオイルを使用するランタン。火を光源とするランタンでは1番一般的。
オイルランタンのほとんどがハリケーンタイプのランタン。
灯油とパラフィンオイルの違い
灯油はパラフィンオイルよりも明るく安く入手できるが、引火性・気化性が高いので危険。下手をすると消防法の厄介になる。
また煤や匂いがあるのでそれを嫌う人も多い。
手につくと荒れたり、同じ石油由来のアスファルトを溶かしたりコンクリートにシミを作ったりと扱いには注意が必要。
ちなみにイギリスではケロシン灯油のことをパラフィンオイルと呼ぶ。ややこしい。
パラフィンオイルは灯油よりも暗く高価だが、引火性・気化性が低いので安全に取り扱いができる。ハーブなどを入れた防虫効果のある物など種類も豊富。
匂いや汚れが少なく持ち運びも楽なのでキャンプでの人気はパラフィンオイルの方が上か。
成分は液状になったロウソクのロウと同じ感じ。パラフィンは日本語で石蝋。クレヨンやワセリンやベビーオイルもパラフィン系。
大体のオイルランタンが灯油もパラフィンオイルも使用可能。この2つの燃料を混ぜて使用する人もいる。
加圧式ランタン
明るい以外のメリットが無いように見えるけど、存在自体がメリットなランタンなんです。
基本的にはガソリンランタンの灯油版と思ってもらって大丈夫なやつ。
メリット | |
---|---|
明るい | |
デメリット | |
コンパクトな物がない | 予熱が必要 |
燃焼音がする |


灯油を気化させるためにアルコールを使用してプレヒートと呼ばれる予熱をしなくちゃあいけない。これをしっかりできないと煤だらけになったりちゃんと発光しなかったりするデリケートな子。
無名メーカーのもあるけど基本的にはペトロマックスかヴェイパラックスの2択のはず。
手間がかかるけど愛用してる人にとってはそれこそがメリットな粋なランタン。
ハリケーンランタン
ハリケーンランタンと呼ばれる子。
燃料が染み込んだ芯に火を付けて光源とする。大きいZIPPOみたいな感じ。
フュアーハンドランタンと呼ばれることもあるけど、フュアーハンドはハリケーンランタンを製造するメーカー名。
メリット | |
---|---|
点灯が楽 | コンパクト |
音がしない | 雨風に強い |
デメリット | |
---|---|
暗め | 同一形状 |


そのままでも着火できるけど芯の両端を切って台形にするのが通。火の形も安定して燃焼効率も良くなる。
加圧式やガソリンランタンとは違い絶対的な明かりは弱いが、芯に着火するだけなので全く音がしない。火の揺らめきを楽しめるのも素敵。
コンパクトでマントルなどがないのでバックパックに吊り下げたりしても大丈夫。
種類も豊富でタンクの容量や芯の太さが違ったり、3,000円台の安いものからウン万円のヴィンテージ物まである。が、知らない人が見たら全部おなじに見える。
写真で見ると大きさがどれも同じに見えるのでネット通販で買う時は注意。小さい物はキャンドルランタン並に暗い。
ガスランタン
CB缶・OD缶や大きい専用のガス缶にセットして着火させるランタン。
キャンドルランタンのような小さな火やマントル式の物まである。
メリット | |
---|---|
点灯が楽 | 燃料の併用ができる |
デメリット | |
---|---|
燃焼音がする | 燃焼時間が短い |


こればっかりは色々なタイプがあるので一概に言えない。「CB缶を使うものは経済的で入手もしやすい」、「マントル式はガソリンランタン並に明るい」、「キャンドルタイプはコンパクト」などなど
OD缶を使用できるってんで泊登山でよく使われるイメージ。
バーナーだと火力が弱くなるような残量でもランタンとしてなら問題なく使えるって利点もあるとか。
キャンドルランタン
そのまんまローソクのこと。
メリット | |
---|---|
コンパクト | 燃料不要 |
デメリット | |
暗い | 燃費が悪い |
掃除が必要 |


箱型になっており雨風を防げるようになっている物が多い。専用のキャンドルを使う物と汎用キャンドルを使う物がある。
防虫効果があるキャンドルを使えば虫よけにもなる。効果は未知数…
1番のメリットは液状の燃料が不要で安全なこと。可燃性の液がバックパックの中で溢れたーなんてことにならない。
雰囲気の演出力もあり、机の上に1つあるだけでノスタルジックになる。
また火が小さいのでテントに持ち込む人もいる。
光量も燃焼時間も残念なのでランタンとしては致命的。基本的には雰囲気ランタン。
LEDランタン
ピッ♪ワンタッチ。種類も抜群に豊富。
充電式と乾電池式の2種類から選べる。
懐中電灯のように真っ直ぐ照らしたり、吊るして真下を照らすなどLEDじゃないと不可能な照らし方もあって移動中やテント内では最高に便利。
また点灯や赤く発光するエマージェンシー的な機能を備えた物もあったりする。
基本的には白い光なので燃料系のランタンと比べると室内感が拭えない。もちろん暖色もあるけど三流メーカーの物はやっぱり白い。
元々LEDの光は青系の色だから暖色系にするにはコストが上がるっていう仕組み。だから安いLEDランタンで「暖色あり」って書いててもあんまり期待できない。
ソーラー発電やUSBで他デバイスへの充電機能を備えてる物や、マグネットでひっつけられる便利なランタンも多く使う人には必需品。
便利さで言えば他のランタンよりも頭が1つも2つも抜けてる。
あと白くて明るいってんでYouTuberが撮影用の光源として気に入って使ってる。
充電式
メリット | |
---|---|
経済的 | 電池切れの心配が薄い |
軽い | |
デメリット | |
連泊では電源必須 | バッテリーに寿命がある |


1番のメリットは電池を使わないことの経済面と、重量の軽量化と荷物の軽減。
充電をし忘れでもしない限り充電切れの心配もないし、うっかりし忘れてもモバイルバッテリーを持っていればそれで充電も可能。
ただ電池が切れたら充電ができる環境じゃないと使えないので連泊では心もとなかったり、災害で停電した時などにはオブジェと化す。
電池式
メリット | |
---|---|
電源が無くても使える | バッテリーに寿命が無い |
デメリット | |
重くなる | 残量がわかりにくい |


やっぱりコンビニなどの売店さえあれば災害時でもキャンプ中でもいつでも使えるメリットはでかい。
ただ買えない状況ではいつ切れるかわからないので予備を持たないと暗闇キャンプになる。
充電式と違って使用寿命が無いので壊したりでもしない限り延々使えるのも魅力的。
だけど電池を入れるスペース分ランタンが大きくなるのと、電池の分だけ重くもなる。特に単1電池が8個必要な大きいランタンだと電池だけで1096gもある。
カーバイドランプ / アセチレンランプ
カーバイドランプともアセチレンランプとも呼ばれるランプ。
カーバイドでアセチレンを発生させて燃焼させた火を光源とする。
メリット | |
---|---|
コンパクト | 明るい |
進行方向を照らせる | |
デメリット | |
修理の知識が必要 | 裸火 |
1方向しか照らせない | 煤が多い |


今では新品を入手するのが難しいカーバイドランプ。ランプ内に炭化カルシウム(カーバイド)と水を入れて、水をポタポタと炭化カルシウムに落として発生したアセチレンを燃料とする。
懐中電灯のように向けた先を照らす物で、懐中電灯よりも広範囲を照らせるので洞窟調査や夜釣りでよく使われてたけど、今では良質なLEDランプが増えて立場を奪われた。
最近はカーバイドランプの特性を利用するためではなく、コレクターや愛好家が嗜好品として使うのがほとんど。
ちなみに自転車のライトや帽子に付けるタイプなど昔は色んな種類があった模様。
見た目はちょろ火に見えるが、これでけっこう明るい。
アセチレンを使っているので温度も高く2000℃以上というロウソクの倍近い温度になるとか?
古い物が多いので自分でレストアできる人や、頼める人がいない人には向かない。
カンテラ
名称の違いで説明した通り鉄道や船舶で使用されていたランプのこと。


カーバイドランプや普通のランタンで、ヴィンテージの物やヴィンテージ風の加工をされていればカンテラと呼ばれることもある。
ほぼ中古品しか手に入らないので、オークションなどで定義を無視してカンテラと銘打ったりしており、名称が無尽蔵すぎてコレがカンテラ!と言い切れないもどかしさ。
前方を照らす物や周りを照らす物などがあり、鉄道では信号として使われていたので赤や緑のフィルターが付いているものもあったりなかったり。
人気のベアボーンズのレイルロードランプも、レール + ロードで鉄道ってことなので鉄道ランタンを模したランタン。
カンブリアンランタン / マイナーズランプ
名称について最初に説明させておくれ。
まず呼ばれる名称ね、鉱山ランプ・揮発油安全燈・ウルフ灯・デービー灯・カンブリアンランタン・マイナーズランプとか呼ばれる物ね。正式名称としては安全灯かな?
鉱山で使用するランプのことを指して鉱山ランプとかマイナーズランプという名称で呼んでいる。
マイナーランプって言われるけど正式にはマイナーズランプね。認知度が低いって意味のMinorではなく鉱山労働者(Miners)のことなのでマイナーズ。
1815年
マイナーズランプの中でもガス爆発を防ぐために作られたランプが安全灯で、発明家の名前からデービー灯とも呼ばれる。
1860年
その後エヴァントーマスという人がデービー灯由来の安全灯を製造するCambrian Lamp Worksという会社を設立して、後にウィリアムズという人とThomas & Williamsという会社に変更。
カンブリアンランタン好きな人はもうわかったと思うけど、E.Thomas & Williamsのことで、前身のCambrian Lamp Worksがカンブリアンランタンの由来ね。
1883年
時は経ち、デービー灯でガソリンが使えるように改良した物を揮発油安全燈と呼んで、これまた開発者の名前からウルフ灯とも呼ばれる。
デービー灯は植物油由来で、揮発油とはガソリンのことね。
ちなみにウルフ灯が出るまでにクラニー灯やパーディ灯やミューゼラー灯などなど色々開発されてる。
あとウルフ灯を作ったウルフさんの意思は今でもWolf Safety Lamp Companyというメーカーとして生きてるよ。
そんでカンブリアンランタンとかマイナーズランプって名称は鉱山が廃止されてからも製造を続けてる唯一の会社E.Thomas & Williamsのマイナーズランタンが定着したって感じ。
E. Thomas & Williamsの会社名になってからもE. Thomas & Williams Ltd Cambrian Lamp Worksなんて呼んでたからカンブリアンランタンって呼ばれてるのかな?
あとカンブリアンランタンって名称は誤訳か、詳しくない人がCambrianのエンブレムを見て使い初めたであろう俗称。「Cambrian lantern」という名称を使った安全灯は無いよ。
そのついでにマイナーズランタンもマイナーランタンになってしまったと思われる。
E. Thomas & WilliamsとCambrian Lamp Worksの当時の資料はここで見れるよ。
ウルフさんのヒストリーはこっち。
色々説明したけど安全灯を”模したランタン”ならカンブリアンランタンとかマイナーランプでいいと思う。
でもヴィンテージ物を持ってる人は適した名称で呼んであげて欲しい。
メリット | |
---|---|
小さい | |
デメリット | |
暗い | メンテナンス性が悪い |




構造的にはまさにZIPPOのそれ。下部に燃料を入れてライターとかZIPPOと同じフリント着火で燃料が染み込んだ芯に火を付けて光源とする物。
上部はガス爆発を起こさないように金網が何層にも重なってる。
燃料は色々言われるけど基本はガソリンでも灯油でもパラフィンオイルでも大丈夫。
ただガソリンや灯油は煤が多かったり危険性も高いのでオススメされてない。雰囲気や見た目でマイナーズランプを選ぶなら僕もガソリンや灯油はオススメしない。
ただこれはヴィンテージの安全灯に対しての情報なので最近のカンブリアンランタンはよくわからない。
E. Thomas & Williamsタイプのマイナーズランプが好きならDavy Lampsってサイトがオススメ。
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