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焚き火の基礎知識

  • 作成日
  • 編集日2024-07-03

意外と知らない?焚き火をする時に知っておきたい基礎知識。

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焚き火のメカニズム

まずは燃焼のメカニズムをおさらい。
消防の世界にはファイヤートライアングルという言葉があり、「熱・燃料・酸素」の三要素を三角形の図で表した物。
消防ではこの三要素のどれか一つを取り除いて消火に当たるそうです。

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ファイヤートライアングル
「熱が燃料を加熱して、発生した可燃性のガスが酸素と結びつき、燃焼してが生まれて、燃料を加熱して...」の連鎖反応

すなわちこの三要素のどれか1つでも損なったり、トライアングルの比率が偏れば火が消えてしまうということです。
この3つは連鎖反応なので焚き火が上手くいかない原因を見極めるのは困難ですが、状態と原因の関係はこちら

燃料過多失火する着火できない
燃料不足炎が上がらない
熱不足失火する燃え広がらない
酸素不足炎が上がらない
最後まで燃やしきれない燃料不足により連鎖反応のスピードが落ちている
フェザースティックで着火できない枝部分(燃料)に対して火力不足の燃料過多
生木で炎が上がらない水分を奪うのに熱量を使用している熱不足
炎がすぐ消える燃焼部分が分散していることによる熱不足

ここでの燃料過多は熱力に対する燃料の強さなので、薪の多さではなく「この火力じゃ燃やしきれない」とイメージしてみてください。
薪1本でもライターのような火に対してなら燃料過多になるイメージです。

火吹き棒を使うと炎が上がるのは酸欠状態に酸素を送って燃えるのもありますが、酸素が加わって燃焼したことで熱量が増えて燃えてる要因もあります。
吹くのをやめると徐々に炎が消えてしまうのは外気に熱を奪われているのが原因でもあります。
直火の時に石でかまどを作るのは外気に熱を奪われなくして蓄熱するためでもあります。

ちなみに酸素を取り込みやすい形の焚き火は熱を放出しやすく、熱を蓄えやすい焚き火は酸欠になりやすいです。
1番火力があるのは酸素を取り込みやすい形で、安定してるのは熱を蓄えやすい形。
火力型や安定型については薪の組み方のページも参考になると思います。

燃料過多、熱不足の場合

燃料過多、熱不足の場合は小枝など小さい燃料を大量に投入することで、燃料と熱量が上がりマイナス面を解消できます。
追加即燃焼する小枝を使うことで連鎖反応のスピードが上がり、大量に投入することで蓄熱と外気を遮断して熱量が上がり、上昇気流が生まれて吸気も行われるので酸欠など気にせずに大量に入れましょう。

酸素不足のとき

酸素不足は吸気だけでなく酸素に触れる面積のことでもあるので、薪を立体的に組むことで酸素に触れる面積を増やしつつ空気の通り道ができて解消できます。
こちらも上記の薪の組み方のページが参考になります。

ファイヤートライアングルですが、最近では三要素に化学反応も取り入れたファイヤーテトラヘドロン(四面体)なんて言葉に変わりつつあるらしいです。

薪や焚き火については下記のページも参照してください。

適した場所

焚き火は場所選びもでも影響があり、焚き火の目的にそぐわない場所を選ぶと不便になることが多いです。
とは言ってもキャンプではそんなに影響は無いはず。
以下はサバイバル本や海外フォーラムで見かけた情報です。

  • 風が当たらない場所
  • シェルターから便利な場所
  • 木などの燃料が手に入る場所

基本的には焚き火を何に使うのかで場所を決めること。皆で囲むのか、料理に使うのか、暖を取るのか、光源としても活用したいかなど。
1番の「風が当たらない場所」で注意したいのはテントの向き。焚き火をする時はテントの入口側でやるはずなのでテントの入口が風下になるとテント内も煙くなり、焚き火の煙で目も開けてられない状態になります。
基本的に風は川と平行に吹くので川っぺりでやる時は川の流れを見て場所を選びましょう。

上記の3点に加えて個人的に追加したいのは、地面や火の粉の影響範囲に燃料がない場所
落ち葉だらけの場所、芝生の上、周りに乾燥した草などが生えている場所などは避けるようにしましょう。
キャンプなどの野外活動では”もしも”が起こり得る確率で身近に潜んでいるので「火の粉で離れた場所の落ち葉に引火」なんてのもありえます。
火の粉の大きさや風の具合で変わりますが、火の粉の飛ぶ距離は50m~200mもあるそうです。
記録に残るようなレアケースでは強風時に2kmも飛んだそうです。

悪天候の時

雨や雪が降ってる最中や止んだ直後でも、対策をすれば焚き火も普通にできます。
焚き火をする場所の第一は「屋根のある場所」。橋の下や木が屋根代わりになっている場所。

屋根がない場合は火床に石を敷き詰めて地面の濡れを防げる「石を組める場所」
石自体が雨に濡れていてもひっくり返せば乾いた面が出てきます。

石がない時は「土を掘る」です。大抵の雨雪なら5cmも掘れば乾いた土が出てくるのでそこを火床とします。流れてくる雨は火床の周りに溝を掘って受け流しましょう。

薪にする木が濡れている場合はナイフなどの刃物で表面をこそぎ落とすか、斧やバトニングで割れば乾いた面が出てくるので、そこから着火しましょう。
焚き火の火力が上がれば濡れたままでも問題なく燃えて、雨の濡れくらいなら焚き火の周りに薪を置いて乾かすこともできます。
雨で塗れている場合は焚き付けを多めに使うのがポイント。

火が付かないくらいの雨が降っている時は、高めの石のかまどを作ってから草や小枝をかまどの上に乗せて簡易的な雨避けを作ってあげよう。

芝生の時

芝生の時はめくって土を出してあげればそこを火床として使えます。
めくった芝は形を保ったまま近くに置いておいて、焚き火が終わったらそのまま芝を戻すのが礼儀です。芝生を戻す時は地面の熱をしっかりとってから戻すこと。
もちろん現在の日本では批判の嵐なので秩序を守ってやること。他人が管理してる場所でやるのは避けましょう。

火床作り

火床作りも焚き火で重要な項目です。ただし直火の場合なので焚き火台を使う時はあまり関係ないです。

大きさ

火床の大きさは使い方にもよりますが両手を軽く開いたくらいの大きさがベスト。だいたい30cm~50cmくらい?
個人的には小さいのが好きなので20cm~30cmで作ってます。
あまり大きくしすぎると熱が分散され蓄熱性も落ち、十分な焚き火をしようとすると大量の薪を消費する燃費の悪い物になってしまうので注意しましょう。
あとは自分の持ってる五徳や調理ギアの大きさに合わせるのも重要です。

直火ならではの、火床の奥で炎を上げる焚き火をして手前で熾火調理という使い方もできるので奥行きも多少持たせておきましょう。

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穴を掘る

直火でよく目にする「穴を掘る」ですが、これは上記で説明した石のかまどと一緒で蓄熱と防風効果がありますが、ただ穴を掘るだけでは酸欠型になるので注意しましょう。
燃焼時に発生する一酸化炭素や二酸化炭素は空気より重いので穴の底に溜まり、周りを土の壁で覆われて吸気ができずに燃焼の妨げになってしまいます。

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穴を掘る時に大事なのが以下の2点。

  • 斜面にする
  • 穴の上部で火を起こす

斜面にする

これは火床を斜めにすることで壁の1面を無くして、空気の取入口を作るため。かまどで1箇所オープンにするのと同じイメージです。
吸気、蓄熱、防風の効果がありますが、水も侵入しやすくなるので雨にはめっぽう弱いです。

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穴の上で火を起こす

これは一酸化炭素や二酸化炭素が溜まっている場所での燃焼を避けるためです。
穴の上に燃えにくい太い薪を橋のように渡してその上で焚き火をするやり方。
100均の網なんかを穴の上に置いてもいいですし、クロスディッチ型と言われる溝でも大丈夫です。
熱の上昇気流によって穴から空気を取り入れられる吸気に強い火床になりますが、蓄熱・防風効果が無くなるので石のかまどを作る必要があります。

かまどを作る

同じ高さくらいの石を火床の周りに並べて蓄熱・防風効果や五徳にできたりするので、石のかまども作るようにしましょう。

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グループで囲むような大きなかまどの場合は1周全て石で囲んでもいいですが、基本はコの字型にして空気の取入口を作るのがミソ。
太い倒木は火が当たっても焦げはするけど燃えてしまうことは滅多に無いので、石の変わりに太い倒木を使っても可能ですが批判派が多いので公共の場ではやめておきましょう。

薪の組み方

薪の組み方でも吸気に優れた高火力型や、薪の節約になる低下色型など特性もマチマチなので下記記事を参考に組んでみましょう。

火起こし

火起こしで失敗する原因の多くは燃焼時間や火力が足りないことです。
なので長時間燃えてくれる着火剤なら火起こし出来るけど、使わないと失敗するという人は 火口や焚付を長時間燃焼させられる量を集めましょう。
詳しい方法は下記ページの「生木に着火」の項目で解説しています。

着火剤やファイヤースターターなどの色々な火起こし道具については、成分やメカニズムなども含めて下記ページで解説しています。

焚き火台

焚き火台について下記のページでまとめています。